「ふれあい交流館ゆうホール」や「総合体育館」の指定管理者である公益財団法人久御山町文化スポーツ事業団が公の施設である「ゆうホール」を主たる事務所として法人登記をおこなっていたことがわかった。
久御山ジャーナルが法務局から取得した事業団の履歴事項全部証明書には主たる事務所に「京都府久世郡久御山町佐古外屋敷235番地(久御山町ふれいあい交流館ゆうホール内)」との記載があった(下記PDF参照)。
『自治体法務の基礎と実践』(森幸二著、ぎょうせい)には「公の施設の一部を管理業務の必要性を超えて、指定管理者の団体事務所として使用することはできない」「NPOなどである指定管理者などが公の施設を本拠として法人登記を行っている例があるが直ちに訂正させなければならない」との記載がある。
ゆうホールは公の施設であり、久御山町から指定管理者として指定を受けた公益財団法人であったしても、あくまでも私法人である。指定管理者である私法人が公の施設を主たる事務所として登記することは、いわば「公私混同」であり、上述した専門家の意見のとおり、許されないと解される。
事業団は、ゆうホール以外に事務所機能を有する所在地がないのであれば、法人代表者の自宅等を主たる事務所として登記するべきである。
一方、久御山ジャーナル芦田の指摘に対して、内田教育長は12月13日の議会答弁において「公益財団法人を所管する京都府に確認したところ、違法・不当ではないとの回答を得た」と反論した。理由として「事業団は指定管理業務以外の事業をおこなっていないため」としている。
しかしながら、例えば税務官庁や(財団を所管する)京都府に提出する書類を作成することは、指定管理業務と直接の関係がない事務であり、これを「主たる事務所」として登記しているゆうホールで作成することは許されなのではないだろうか。また、住民感覚からも私法人の主たる事務所を公の施設の所在地に登記するというのは、大きな違和感がある。
久御山町文化スポーツ事業団の法人登記.pdf (0.23MB)
◯専門家の意見(参考)
「指定管理者が、管理する公の施設の一部を管理業務の必要性を超えて、事務所として使用することはできない。使用するためには、目的外使用許可が必要であるが、『事務所が管理する施設の内にあった方がよい』は、当該許可において考慮するべき事項ではない。単なるわがままに過ぎない。施設の設置当初から、あらかじめ指定管理者の主たる事務所のスペースが用意されている例などは、論の外である。活動の本拠であり、物理的な象徴でもある事務所を持たないような団体が、公の施設の管理者として相応しいだろうか。
また、観光協会、NPOなどの指定管理者が、公の施設を所在地として法人登記を行っている例もある。一種の『不法占拠』である。対外的な過解を招かないように、訂正させなければならない。」
引用文献:『指定管理者制度の実務』(森幸二著、ぎょうせい、115頁)
2023年12月14日
久御山ジャーナル編集部