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代表監査委員が利害関係のある監査から除斥されず 自治法違反か

久御山町の代表監査委員が公益財団法人「久御山町文化スポーツ事業団」の監査に参与していたことがわかった。代表監査委員は、当該事業団の監事を兼ねており、利害関係を有する事件を監査することができないと定めた地方自治法に違反する可能性が高い。

 

久御山町の監査委員は、本年度に事業団などの財政援助団体に対する監査を実施した。上述のとおり代表監査委員は、従前から当該事業団の監事を務めている。

 

地方自治法199条の2には「監査委員は(中略)自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、監査することができない」としている。

 

行政実例(昭和38年11月20日)では「財団法人の監事を兼ねている県監査委員は、本法199条第7項の規定による当該法人の監査に当たり、本条(199条の2)の規定により除斥される」(地方自治法令研究会編『自治六法令和6年版』ぎょうせい、138頁)と解されている。

※本法199条第7項というのは、財政援助団体等監査を指す。

 

これを本件に照らすと「公益財団法人『久御山文化スポーツ事業団』の監事を兼ねている久御山町の代表監査委員は、本法199条第7項の規定による当該法人の監査に当たり、本条(199条の2)の規定により除斥される」と解することができる。

 

ところが監査事務担当者と教育委員会に確認したところ、代表監査委員は当該事業団の監査から除斥されず、監査に参与していたと回答があったため、地方自治法に違反する可能性が高いと考えれる。

 

思うに、自身が監事を務める法人を町監査委員として監査することについて何らかの違和感を抱くのが当然であるところ、これを漫然看過したのであれば、監査委員としての重大な注意義務違反となるだけでなく、その資質にも問題があるといえる。

 

現在の代表監査委員は、弁護士や公認会計士といった外部の専門家ではなく、久御山町役場を退職した元助役が務めている。

 

2024年12月12日配信

久御山ジャーナル編集長

 

 

〇参考法令等

・地方自治法第199条の2

監査委員は、自己若しくは父母、祖父母、配偶者、子、孫若しくは兄弟姉妹の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、監査することができない。

 

・自治丁行発第82号(昭和38年11月20日)

財団法人の監事を兼ねている県監査委員は、本法199条第7項の規定による当該法人の監査に当たり、本条の規定により除斥される。

忖度政治の原因か 信貴町長が医師連盟から資金援助

信貴康孝町長が京都府医師会が組織する政治団体「京都府医師連盟」から町長選挙の資金として10万円の寄附を受領していたことが選挙運動収支報告書によりわかった。

 

信貴陣営が町選管に提出した選挙運動収支報告書の収入の部には、推薦を受けた自民党から合計16万円(内訳は府連から10万円、参院第一支部と参院第四支部が各3万円)、立憲民主党から5万円の選挙資金の寄附が計上されたていたほか、京都府医師連盟から10万円の寄附が計上されていた。推薦政党の1つである公明党からの資金援助は確認できなかった。

 

医師会は自民党の有力な支持団体であり、医師連盟は医師会のいわば「政治部」に該当する。潤沢な資金力に加え、組織内国会議員が存在することもあり、強い政治的影響力を有している。圧力団体内でも医師会の政治的影響力はトップクラスといえる。

 

こうした圧力団体から選挙資金の援助を受ける場合は、選挙後に影響力を行使してくることが予想されるため、利権政治・忖度政治の温床となるものである。

 

2024年12月10日配信

久御山ジャーナル編集部

「決算は適正」 スポ協監事のずさん監査

元町職員(懲戒免職)による運営資金(約300万円)の私的流用を看過していたスポーツ協会の監事(2名)が「決算は適正」とする監査報告書を作成していたことが7月22日までにわかった。「手抜き監査」「ずさん監査」との批判は免れない。

 

町教育委員会の説明によるとスポーツ協会の監事は、毎年、総会前に会長・理事長・会計が同席して事務局職員から出納管理書類に基づき説明を受ける形式で監査をおこなっていたという。

 

監事が作成した監査報告書には元職員が協会の運営資金を私的流用していた期間においても「収支状況等は正しく表示されている」「証拠書類も正確に整理されており、その使途も適正であった」など記載されていた。

 

「スポーツ協会事務執行あり方検討委員会」の報告書によると、監事を含むスポーツ協会の役員は通帳による残高確認を怠っていたという。

 

監査人が直接現物を確かめることを実査(じっさ)というが、スポーツ協会の監事は元職員を信用し、預金通帳の実査を怠っていたのである。これは決算書と帳簿書類、通帳などを点検し、会計事務が適正であるか監査することが職務である監事として重大な任務懈怠に該当する。

 

スポーツ協会の監事は、なぜ通帳を実査せず私的流用を看過してしまったのか。いずれにしても運営資金の私的流用を看過した人物に監事の資格はないことは明らかである。

 

pdf 令和3年度スポーツ協会監査報告書.pdf (0.08MB)

pdf 令和4年度スポーツ協会監査報告書.pdf (0.09MB)

 

2024年12月9日配信

久御山ジャーナル編集部

監査委員が不適切と指摘 スポ協が補助金を原資に積立金

久御山町スポーツ協会が町から交付された補助金を原資として積立していた基金の全額を町に返還していたことが6月21日までにわかった。

 

当該積立金は、スポーツ協会が周年記念事業のために毎年一定額(令和3年以降は毎年10万円、それ以前は不明)を一般会計から繰り出して、基金として別の通帳に分離保管していた。

 

スポーツ協会の決算書には、令和5年度までに約135万(預金利息を含む)を積み立てていたことになっていたが(あくまでも書類上)、本紙既報のとおり町の元会計年度任用職員が令和2年に当該積立通帳からほぼ全額を不正に出金し、私的に費消していたのである。

 

その後、元職員からは私的に費消していた金員の全額が返還され、消失していた積立金は回復した。

 

当該積立金について、町監査委員は令和2年8月に実施したスポーツ協会(当時:体育協会)に対する監査において、補助金を原資として積立金を計上することは交付目的に照らして不適切であると指摘。周年記念事業を実施する際には、町に予算要望するべきとの意見を示していた。

 

しかしながら、その後もスポーツ協会は監査委員の指摘を無視し、補助金を原資として積立金の繰り出しを継続。不祥事が発覚し、元職員が私的に費消した金員を返還するに至ってから、ようやく協会は町に積立金を返還したのである。

 

町の令和5年度決算書には、雑入としてスポーツ協会からの返還金が計上されている。

 

pdf 財政援助団体等監査(令和2年8月6日実施)における指摘事項について(報告).pdf (0.3MB)

 

2024年12月5日配信

久御山ジャーナル編集部

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