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恣意的人事 信貴町長の元側近が監査委員に

久御山町の信貴町長は、6月に元副町長のT氏を議会の同意を得て監査委員に選任した。町長から独立して監査する立場であり、高い中立性と専門性が求められる監査委員として疑義が生じる恣意的な人事である。

 

T氏は、昭和50年に久御山町役場に入庁。平成22年に総務部長、平成24年に総務部参与、平成25年から4年間は副町長を務めた久御山町役場で「生え抜き」の人物である。

 

T氏の副町長選任は信貴町長がおこなったものであり、かつての腹心を監査委員に選任したものである。「民主」集中制の日本共産党では、常任幹部会委員が監査委員「会」の責任者を兼務しているが(会社でいえば取締役が監査役を兼務している状況)、これと同様に無茶苦茶な人事である。

※日本共産党の宮本体制初期では、党大会選出の中央統制監査委員会が監査機関であったが、その後、統制委員会(後に「規律委員会」と改称)と監査委員会に分離され、いずれの委員も党大会の承認を必要としない、中央委員会による任命制に改悪された。

 

会社法に規定する社外取締役と社外監査役は、一般に「独立役員」と言われており、就任する10年前までに当該会社およびその子会社の役員や従業員であった者は、就任できないことになっている。これは当該会社からの独立性・中立性を担保するためである。

 

また、アメリカ合衆国では、文民統制の観点から、国家安全保障法により、准将以上の退役軍人は退役から10年間を経過しないと、文民とみなされないという規定がある。

 

以上のことから、本件人事は地方自治法に抵触するものではないが、平成29年の副町長退任から10年を経過していないT氏は、未だ「役場関係者」とみるべきであり、外観的独立性を有しないだけでなく、町監査基準が定める「公平普遍の態度を保持」することは困難といえる。弁護士等の国家資格者でもなく、行政職員としての経験が長く、役場内で出世したというだけでは専門性も担保されていない。

 

2025年11月10日配信

久御山ジャーナル編集部

グランハットの工期延長 議会から厳しい意見が相次ぐ

全世代・全員活躍まちづくりセンター(愛称:グランハット)の工期が令和8年12月28日まで延長することが10月29日に開催された町議会総務事業常任委員会の休会中の事務調査等によりわかった。

 

グランハットは、当初は令和7年度中に開館することを予定していた。ところが昨年10月に共同企業体の構成員「南山建設」の経営破綻が明らかなった。さらに今年2月に配筋検査が不合格となり、配筋是正に6か月を要することとなった。 

 

このほか、町によると破綻した共同企業体構成員の存在を前提に、同時に請け負った大阪・関西万博関連の工事や他の大型工事に技術者等を配置していたため、グランハット工事に人員の配置転換や補充がおこなえなかったこと、専門的な技術を持つ人員の確保に困難をきたしたこと、働き方改革として週休2日制の導入により人員の確保に困難をきたしたことなどの要因により大幅に工期を延長することになったという。

 

町側は発注者(町)には何ら瑕疵や過失はないと主張している。また、共同企業体は9月30日付けで町長宛てに発出した文書において、全面的に自社の非を認め、契約書に基づき工期延長に伴う損害賠償金も負担するとしている。本紙が調査したところ、文書には謝罪の文言は見受けられなかったが、社長が来庁した上で謝罪があったという。

 

10月29日の総務事業常任委員会では、工事現場の現地視察を実施。地元紙の報道によると共同企業体が内部撮影の禁止を視察団に伝えたところ、樋口房次委員が「技術が流出する恐れがあるなどという明確な理由があれば分かるが、理由も示さず『あかん』とはどういうことか」と説明責任を果たさない隠ぺい体質に憤慨したという(令和7年10月30日付け『洛タイ新報』参照)。

 

【社説】常任委員会は調査権を行使せよ 100条委員会の設置も視野に入れるべき 

 

総務事業常任委員会では樋口委員を急先鋒に厳しい意見、憤慨する意見が相次いだが、中途半端なところで「矛を収めた」が感が否めない。

 

樋口委員が言うように、理由も示さず工事現場内部の撮影禁止を通達する共同企業体の態度は工期延長をお願いする立場として正当なものといえない。

 

共同企業体がそうした不誠実な態度であるならば、共同企業体の役員や現場責任者などを参考人として招致して、共同企業体から議会に直接説明を求めるといった調査権を行使するべきである。

 

ところが常任委員会では、委員から共同企業体の役職員の参考人招致を求める動議の提出はなかった。町執行部に資料の提供と説明・答弁を求めるだけで調査を尽くしたつもりなっている議会側にも問題がある。

 

もっとも常任委員会の参考人招致には法的強制力はない。これに対して100条委員会の証人喚問には出頭する義務があり、正当な理由がない不出頭には罰則がある。本件は、住民の大きな関心事であり、議会として調査を尽くす責務を負っていることは明らかである。

 

常任委員会は、共同企業体の役職員の参考人招致を求め、それに応じないような場合であれば、100条委員会の設置も検討するべきはないだろうか。

 

pdf 久御山町全世代・全員活躍まちづくりセンター建築工事について(企画財政課常任委員会資料).pdf (0.5MB)

 

2025年11月8日配信

久御山ジャーナル編集部

社協がデイサービスで740万円の赤字 財務状況を圧迫か

久御山町社会福祉協議会が令和6年度にデイサービス事業において約740万円の赤字を計上していたことが7月1日までにわかった。

 

社会福祉協議会が公開した資料によると、監事は、令和6年度決算監査報告書において「デイサービス事業において約740万円の赤字を計上しており、前年度に比しても損益状況が著しく悪化している」として、「現行の事業運営のままでは法人全体の財務健全性に影響を及ぼすおそれがあると認められるため、当該事業については早急に経営改善計画を策定・実行する必要がある」と厳しく指摘している。

 

久御山町から社会福祉協議会には、約4400万円の補助金が支出されているが地域福祉に関する人件費分であり、デイサービスは自主事業にあたるため町行政とは直接の関係がないという。しかしながら町の高齢者福祉に影響があるため経営改善の必要性は認識しているという。

 

社会福祉協議会の貸借対照表によると、現預金が1億1万円、純資産額は1億8千万円ある。流動比率は573%、自己資本比率66%となっており、極めて健全な財務状況にあるといえる。

 

しかしながら、この赤字状況が続けば、監事が指摘するように法人全体の財務を圧迫する恐れがあり、デイサービス事業は社会福祉協議会の「アキレス腱」となっている。本紙芦田は、9月12日の予算決算常任委員会および10月30日の民生教育常任委員会において、早急な経営改善が求めた。

 

他自治体の社会福祉協議会では、運営難から自治体が財政的支援をおこなったり、介護事業が他の社会福祉法人に譲渡される例もみられる。

 

2025年11月7日配信

久御山ジャーナル編集部

商工会連合会の副会長が特定候補への支援呼びかけ 商工会法違反か

5月29日の久御山町商工会通常総代会において来賓出席していた京都府商工会連合会の副会長(会長代理出席者)が商工政治連盟の組織内候補の名前を挙げて、来場者に参議院議員選挙に向けて支援を呼びかける発言があった。商工会の政治的中立性を規定した商工会法に違反する可能性がある。

 

商工会は、商工会に基づいて設立された特別認可法人であり、府と町から補助金が支出されている極めて公共性が高い団体である。

 

商工会法第6条第3項は「商工会は、これを特定の政党のために利用してはならない」としているため、商工会の政治活動は禁止されている。

 

もっとも、商工会が政府や地方公共団体に対して商工政策についての要望書を提出するような行為まで禁止する規定ではない。特定政党に政治献金をおこなったり、特定の候補者(予定候補者を含む)を支援するような行為を禁止する規定である。

 

商工会は会員有志による政治団体「商工政治連盟」という別団体で政治活動をおこなっているが、任意加入であれば結社の自由として当然に認められるものである。ただし、商工会と商工政治連盟は別団体であり、商工会は商工会法の規制を受けるため、両者の事業や活動、活動資金などは厳格に分離しなければならない。

 

京都府商工会連合会の副会長は当該発言は、商工政治連盟の集会であれば何も問題ないが、様々な支持政党の者が参加する商工会の総代会という場にそぐわないだけにとどまらず、上述したとおり商工会の政治的中立性から逸脱するものであり、商工会法に違反する可能性がある。

 

本件について本紙芦田は6月会議の一般質問で問題視したが、町は「発言があったことは認識している」としてながらも「商工会を監督する立場でないため、商工会法に違反するかどうかの判断はできない」と答弁した。

 

一方、大手マスコミによると大分県の由布市商工会でも公式LINEのアカウントで特定の候補者の支援を呼びかける行為があり、由布市が商工会法に違反するとして警告を行い、改善措置に関する報告を求めたという報道がある。

 

なお、商工政治連盟の組織内候補は、自民党から参議院議員に比例代表で立候補したが落選した。

 

参考記事

参議院選挙、大分県由布市の商工会がLINEで特定候補者の支援呼びかけ…政治的中立求める商工会法に抵触(読売新聞2025年7月16日配信)

 

2025年9月7日配信

久御山ジャーナル編集部

 

横領した元職員が不起訴処分 スポ協の告訴断念が影響か

スポーツ協会の運営資金を私的に流用し、業務上横領罪が告発されていた元町職員(懲戒免職)が7月に京都地方検察庁が不起訴処分としていたことがわかった。9月5日の民生教育常任委員会において生涯学習応援課長が答弁した。

 

この問題は、スポーツ協会の事務局を担当していた町の会計年度任用職員が同協会の運営資金を私的流用していたことが発覚したことにより、町教育委員会が宇治警察署に告発状を提出していたものである。

 

本件についての直接の被害者は町スポーツ協会であり、告訴権を持つのは協会である。しかしながら、協会は告訴を見送り、第三者となる町教育委員会が告発していた。

 

不起訴理由は明らかとなっていないが、教育委員会によると弁護士の助言のもと、証拠保全などは十分になされているということであったので嫌疑なし・嫌疑不十分での不起訴処分というのは考え難い。

 

そうすると、被害者であるスポーツ協会から告訴状が提出されていないこと、元町職員が全額弁済していること、元町職員は既に(別の罪により)懲戒免職となり社会的制裁を受けていることなどが考慮され、起訴猶予での不起訴処分になった可能性が高いと思われる。

 

本紙芦田は、不起訴処分を避けるためにも被害者であるスポーツ協会が告訴状を提出するなど、捜査機関に対して強い処罰感情を示すべきと主張していた。それが不祥事を起こしてしまった協会としての責任の取り方であるが、協会はその任務を投げ捨てしまった。

 

法的知識が不足しているので告訴状の作成が難しいのであれば、自分の言葉で処罰感情をつづった「起訴を求める上申書」「厳罰を求める上申書」を提出することもできたはずである。

 

不起訴でこの事件が幕引きになることは断じて容認することができない。

 

・元職員による準公金の横領事案 スポ協が告訴を断念(2024年10月18日配信)

「本件では私的流用された金員の全額が弁済されており、告訴権者から処罰感情が示されていないこともあり、最悪不起訴になる可能性は否定できない」と記載した。

 

・本紙芦田は、令和6年12月会議の一般質問でもスポーツ協会の告訴がないことにより不起訴になる可能性に言及していた。

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2025年9月6日配信

久御山ジャーナル編集部

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