久御山町が全戸配布した冊子に公職選挙法違反(文書図画の掲示違反)を助長しかねないイラストを掲載していたことがわかった。
問題の冊子は「久御山町レインボウプラン概要版」。『広報くみやま』4月15日号とともに全戸配布された。
この2ページに「このたび町議会議員に立候補しました!」という性別不詳のイラストが掲載されており、「女の人?男の人?」という問いがあり、その下に「実は、答えは決まっていません!」として女性の候補者と思われるイラストが掲載されている。
つまるところ、町議会議員候補=男性という「無意識の思い込み」がないかと問題提起するものである。
このイラストは「町議会議員に立候補しました!」という表記があることから選挙運動の描写と解釈できる。問題なのは、のぼりを選挙運動で使用していることである。
公職選挙法143条では、選挙事務所を表示するためのものや選挙カーに取り付けることによって「のぼり」(文書図画)を掲示することは許されているが、それ以外については認められていない。
しかしながら、当該イラストでは候補者が手に持って「のぼり」を掲示しているため、当該行為が実際にあれば公職選挙法(文書図画の掲示違反)に違反する。
イラスト自体は違法ではないが、自治体が発行する冊子で、本件のような表現をおこなえば、公職選挙法に助長する恐れがあり、極めて不適切との誹りは免れない。
根拠法令:公職選挙法
(文書図画の掲示)
第百四十三条 選挙運動のために使用する文書図画は、次の各号のいずれかに該当するもの(衆議院比例代表選出議員の選挙にあつては、第一号、第二号、第四号、第四号の二及び第五号に該当するものであつて衆議院名簿届出政党等が使用するもの)のほかは、掲示することができない。
一 選挙事務所を表示するために、その場所において使用するポスター、立札、ちようちん及び看板の類
二 第百四十一条の規定により選挙運動のために使用される自動車又は船舶に取り付けて使用するポスター、立札、ちようちん及び看板の類
三 公職の候補者(参議院比例代表選出議員の選挙における候補者たる参議院名簿登載者で第八十六条の三第一項後段の規定により優先的に当選人となるべき候補者としてその氏名及び当選人となるべき順位が参議院名簿に記載されているものを除く。)が使用するたすき、胸章及び腕章の類
2023年4月27日
久御山ジャーナル編集部
読者から質問が届いたので、質問・回答を掲載する。
【質問】
久御山町議会議員選挙の投票日である4月23日のお昼頃、私の友人宅に✕✕✕✕陣営(編集部注:届いた質問文は実名表記)の選挙事務所から「もう投票へは行かれましたか?」などと電話があったそうです。
投票日当日の選挙運動は公職選挙法違反にあたるものだと認識しておりましたので、疑問を抱きました。
電話の内容にもよるのかと考えましたが、このケースは問題にならないのでしょうか?
もし違反だった場合、選挙結果に大きな影響が出るものと思われますので、重要なことではないかと思います。
※質問内容は一部編集済み
【回答】
結論:本件架電はグレー(適法か違法かの判断は難しい)
このような電話は俗に「追い出し電話」と言われるものであり、私自身もこのような電話を何度か受けたことがあります。特定候補への投票を依頼するものではないため、選挙に携わる者の間では一般的に「適法」と認識されています。
例えば『28歳で政治家になる方法』(田村亮著、経済界)には「投開票日は、選挙運動をしてはいけません。しかし、『投票に行きましょう』と電話することは、実はOKなのです。『◯◯候補をよろしく』とは言えませんが、色々な人に投票棄権防止運動で電話することは問題のない行為です」(221頁)などと書かれています。
『“イヤな”議員になる/育てる』(髙井章博著、公職研)にも同趣旨の記載があります。
一方、高知市のHPには「投票日当日の選挙運動は禁止されていますので,電話による投票依頼は選挙違反となります。また,○○候補への投票を依頼されなくても,投票日の当日に特定の候補者を支持している者等が投票の呼びかけを行うことは,選挙違反の恐れがあります」と書かれています。
また『統一地方選挙の手引』(選挙制度研究会著、ぎょうせい)には、「投票日に、特定候補者を支持推薦している団体等が、自動車等で棄権防止を呼びかけることはどうか」という問いに「棄権防止のためといえでも、併せて特定の候補者の当選に資するものと認めれ、違反になる場合が多い」と回答しています。
判例があればよいのですが、上述したとおり、明白に選挙違反ということもできません。個人的には特定候補者の選挙事務所を名乗って「投票いきましょう」と促すことは、違反の可能性が高いのでやめるべきと考えますが、当局による取り締まりなどもなされていないようです。
(回答者:芦田祐介)
高知市HP(外部リンク)
2023年4月24日
久御山ジャーナル編集部
京都府議会議員選挙(宇治市・久世郡選挙区)に立候補している現職の藤山裕紀子候補が政務活動費から「無届けの政治団体」に会費を支出していたことがわかった。
支出先は、右派色が強い自称「国民運動団体」の「日本会議」(会長=田久保忠衛・杏林大学名誉教授)。
総務省・都道府県選挙管理委員会のいずれにも政治団体設立届けを提出していない無届けの「政治団体」である。
日本会議の会員になると機関誌『日本の息吹』が毎月届くほか、居住する支部からは講演会などの案内が届く。政治的機関誌を発行しているほか、会として陳情・提言活動や「のぼり」を掲出した街頭宣伝活動などもおこなっており、政治活動をおこなっている団体であることは明らかである。
藤山氏の活動報告書によると「地域の平和は日本の平和に繋がり、日本人としてどのように国の安心・安全を守っていくのか、その見識を深め、府政に繋げていく」ことを目的に支出したとしてる。また成果として「夫婦別姓について、オンライン講演会や討論会に参加し、様々な見解があり意見交換できたことは貴重であった」などとも記載している。
政治団体の設立届け出が提出されていない団体のため形式的には府の政務活動費の支出基準には反しないのかもしれないが、実態は政治団体の会費である。そのため公金から「日本会議地方議員連盟」の会費を支出することは、政治的中立性に反する。機関誌も府政との関連は薄い内容なっている。
このような会費は私費から支出するべきであり、藤山氏は政活費から支出した会費全額を府に返還するべきである。
2023年4月7日
久御山ジャーナル編集部
京都府議会議員選挙(宇治市・久世郡選挙区)に立候補している現職の藤山裕紀子候補が告示日前日になる3月30日付けのFacebookに出陣式の案内を掲載していたことがわかった。事前運動を禁止した公職選挙法に違反する可能性がある。
藤山候補は3月30日付けで「いよいよ明日から京都府議会議員選挙が始まります。9:00〜辻岩ビル新館前の駐車場におきまして、出陣式を行います。平日ですのでお勤めの方には難しいかと存じますが、お時間のある方は、ぜひともご参集賜り、励ましのお言葉を頂戴できましたら幸甚です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。」などと投稿した。
公職選挙法では事前運動を禁止している。事前運動に該当するか否かは、判例・通説によると①特定の選挙において、②特定の候補者の当選を得又は得しめるために、③選挙人に働きかける行為とされる。
そこで本件についてみると、①京都府議会選挙(宇治市・久世郡選挙区)において、②藤山氏を当選を得又は得しめるために、③SNSによって不特定多数の選挙人に働きかける行為に該当すると解させる。
行政先例には、告示日前に「◯◯選挙事務所・出陣式」と題する文書を選挙人数千人に郵送頒布した行為について警告がおこなわれたという事案があるようである(※)。SNSについてもこれと同様に解するべきである。
※選挙運動違反の警告&検挙実例集(12ページ参照)
久御山ジャーナルは、本件について藤山事務所に見解を求めるメールを送信した。回答があり次第、編集せずに全文を公開する。
【4月6日(21:50)追記】久御山ジャーナルの指摘を受けてか藤山氏が当該記事を削除したことを確認した。現在のところ回答メールは届いていない。
藤山候補のFacebookより
その他の参考ページ
2023年4月6日
久御山ジャーナル編集部