久御山町教育委員会が町内の小学校で使用する教師用指導書等を本来必要な町議会の議決を得ずに購入していたことが9月26日までにわかった。重大な法令違反に該当し、議会の議決権を侵害するものである。
この問題は全国の自治体において多発しており、9月11日に京都府山城教育局から久御山町を含む各市町村に確認するよう連絡があり、町教委が調査をおこなったところ発覚したもの。
久御山町の条例(久御山町議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例)では、予定価格700万円以上の動産を購入する場合は、事前に議会の議決が必要となっているが、当該議決を経ずに令和6年3月27日に契約をおこない、同年3月29日に納入されたという。
町教委によると、教科書採択は4年に1回であるが、前回採択時までは700万円以上となっておらず、近年の物価高騰やデジタル教科書の指導書を購入したことから700万円以上となったにもかかわらず、消耗品として購入していたため、見落としていたという。
地方自治法では地方公共団体の長(実務を担うのは契約部署)による支出命令や会計管理者による審査を経て、債権者に金員を支払うこととなっており、事後的には監査委員による監査もある。ところが府から連絡があるまで、町教委は、まったく気づかなかったという。二重三重のチェックをすり抜けていたことになり、役場の内部統制が機能していないことが露呈したといえる。【上記フローチャートを参照】
「最後の砦」である監査委員も当該事案を見落としており、令和5年度決算の監査委員による意見書には「その運営執行は予算に基づき適正に執行されて」いると記載していた。
自治体監査の実務書『よくわかる「自治体監査」の実務入門』(村井直志著・日本実業出版・158頁)には「契約の締結について議会の議決等正当な承認を得ているか」は着眼点の1つしている。別の実務書『50のポイントでわかるはじめての自治体監査』(吉野貴雄著・学陽書房・172頁)にも同様の記載があり、本件法令違反の指摘を怠ったことは、監査委員として重大な任務懈怠といえる。
なお、町監査委員は弁護士や公認会計士といった専門家ではなく、職員OB(元助役)と議員の2名で構成されている。
2024年10月16日配信
久御山ジャーナル編集部