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スポ協が告訴を断念 町の告発は受理

元町職員(懲戒免職)による運営資金の私的流用を看過していた町スポーツ協会は、捜査機関に告訴することを断念した。スポーツ協会に法的知識や調査する能力が欠如しているためだというが、犯罪者を野放しにすることになり、公益に反する。

 

本件事案は、町スポーツ協会の事務局を担当していた久御山町の元会計年度任用職員が児童買春・児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕・起訴されたのが端緒。その後、別の職員がスポーツ協会の事務を引き継いだところ、逮捕された元職員が同協会の金員を私的流用していたことが発覚していた。

 

町教育委員会は昨年12月に元職員を宇治警察署に刑事告発。告発状は長期間「預かり」状態となっていたが、本年9月になってようやく受理された。

 

告訴は犯罪被害者が捜査機関に対して犯罪事実と処罰の意思を申し出ることであり、本件で告訴権を有するのは町スポーツ協会である。一方の告発は、告訴権者以外が犯罪事実と処罰の意思を申し出ることである。刑事訴訟法によると、公務員は職務上犯罪を知ったときは捜査機関に告発する義務があるため、町教育委員会は本件義務を履行したものといえる。

 

告訴権を行使するかどうかの最終判断は町スポーツ協会がおこなうものであるが、町教育委員会としても告訴するように助言・勧告し、必要なサポートをするべきであるが、議会では「告訴するかどうかはスポーツ協会が判断すること」と他人事(ひとごと)のような答弁であった。

 

本件では私的流用された金員の全額が弁済されており、告訴権者から処罰感情が示されていないこともあり、最悪不起訴になる可能性は否定できない。

 

準公金の私的流用は絶対に許さないという強い意思を示すためにも、スポーツ協会は今からでも告訴するべきである。町からの補助金で運営している公益性が高い団体としては、告訴することは当然の責務であり、告訴を断念するような組織体質にも大きな問題があるといえる。

 

pdf スポーツ協会の事務執行状況について(民生教育常任委員会資料).pdf (0.16MB)

 

2024年10月18日配信

久御山ジャーナル編集部

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