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本年6月28日付けをもって中井孝紀議員(当時)は議長に辞職願を提出し、本会議において賛成多数(1議員が反対)によって辞職が許可された。議会は議員から提出された辞職願を拒否することはできるのか、以下検証する。

 

地方自治法126条は「普通地方公共団体の議会の議員は、議会の許可を得て辞職することができる」とある。それでは、議会は自由な裁量により議員辞職を許可・不許可を決めることができるのか。

 

最高裁の判例(昭和24年8月9日)によると市議会は正当の理由なくして市議会議員の辞職願を拒否することはできないとしている。地方自治法126条の規定は、議員が自己の恣意に基づいてみだりに辞職することを抑止するためのものであり、議会もまた正当な理由なくしては辞職許可を拒否しえないものと解される。

 

当該判例は市長当選の告知を受けた日から5日以内にその兼職禁止の職(当該判例では市議会議員)を辞さないときは、市長当選の効力を失うものとされていた当時のものである。

※判例の事案では市長に公選され就任するために市議会議員を辞職しようとしたものであるが、現行法では市議会議員が市長選挙に立候補した場合は、議員職は自動失職となる。

 

これを本件についてみると、中井議員は、町長選挙に立候補するために議員辞職を願い出たものであり、辞職する権利を濫用したものと認めることはできない。

※現町長である信貴康孝氏も町長選挙に立候補する前に議員辞職している。

 

従って議会が辞職を不許可とする合理的な理由は見当たらず、仮に議会が辞職を不許可とした場合は、違法な議決となった可能性が高いと考えられる。

 

最高裁判所第三小法廷 昭和24年8月9日判決(裁判所ウェブサイト登載)

2024年11月5日配信

久御山ジャーナル編集部

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