久御山町教育委員会が町内の小学校で使用する教師用指導書等を本来必要な町議会の議決を得ずに購入していた事案に関連する行政文書が昨年11月21日に開示された(全文は下記PDF参照)。法令違反の原因を調べるために、本紙芦田が10月17日付けで公文書の開示請求をおこなっていた。
開示された契約書によると、昨年3月27日付けで締結され、同29日に履行された。検査調書によると、建設課長補佐が検査をおこない、教育委員会の学校教育課長補佐が立会人となり、信貴町長に報告されていた。
支払負担行為書には町長、副町長、教育長、会計責任者などの決裁印が押されていた。
久御山町の条例では、予定価格700万円以上の動産を購入する場合は、事前に議会の議決が必要となっている。また、地方自治法では会計責任者は町長から支出命令を受けた場合においても、法令または予算に違反するときは、支出することができないと規定している。
本件の場合、教育委員会に加えて、会計責任者や検査人となった建設課長補佐の「認識不足」により看過してしまったという。
開示された行政文書からは、久御山町のガバナンスが機能不全に陥っていることが深く読み取れた。
さらに事後的になるが監査委員による監査もおこなわれていたはずであるが、令和5年度決算の監査意見書には「予算に基づき適正に執行されて」いると記載されていた。
これについて、監査事務担当者は「財務書類は膨大な量があり、一般的に試査(※1)によることが認められている。実施した監査の範囲で、意見書に『予算執行は適正』と述べているものであり、今回の件は、監査委員の任務懈怠や重大な注意義務違反には当たらない」と議会で答弁している。
しかしながら、監査の実務書によると議会の議決を得ているかどうかは監査の着眼点とされている。監査委員は例月出納検査、定期監査、随時監査、決算審査など様々な機会において本件法令違反を指摘することができる立場であった。試査を理由に責任逃れの上記答弁は失当である。
本来、監査委員は「最後の砦」として機能しなければならないが、専門的知識を有さない役場OBの監査委員では、見抜けなくて当然である。かような人物を監査委員として選任した信貴町長とそれに同意した議会の責任は重い(※2)。
監査委員には、高度な専門性と独立性が求められるところ、役場OBでは、その両方が欠けており、役場OBの代表監査委員が久御山町役場のガバナンスを機能不全に陥らせているといっても過言ではない。本紙読者からも「役場OBが監査委員を務めるのはおかしい」といった声が届いている。
思うに、監査委員はときとして執行部と相対立することもあるため、その選任には、恣意的な人事を防ぐためにも弁護士会からの推薦を受けた弁護士を監査委員にするなど抜本的な見直しが必要である(報酬を上げる必要もある)。役場に友好的・協力的な地元の名士や役場OBを監査委員にするのは論に値しない。
役場OBの代表監査委員は、その地位に留まることが住民の利益を損ねていることを強く自覚し、即刻辞任するべきである(※3)。
※1 試査:監査の対象となる母集団から一部の項目を抽出して監査を実施すること。
※2 令和3年6月会議において信貴町長から町議会に監査委員の選任(再任)同意を求める議案が提出された。当該議案には、本紙芦田と松尾憲議員(当時)が反対したが、賛成多数により選任同意となった。
※3 もっとも現・代表監査委員の任期は本年6月19日までとなっている。
初報記事:町教委に法令違反 議会の議決を得ずに教師用の指導書等を購入(2024年10月16日配信)
令和6年度以降使用教師用指導書等取得についての行政文書.pdf (3.94MB)
2025年4月27日配信
久御山ジャーナル編集部