元町職員によるスポーツ協会の金員私的流用について町監査委員は、昨年12月11日の本紙芦田の一般質問に対して、自らの責任を放棄し、自身の職務を正当化する答弁をおこなった。監査委員として不適格なのは明らかである。
助役出身の代表監査委員は、「(町監査委員による)監査行為が、スポーツ協会の事件を誘導したのではなく、監査行為と事件発生は全くの別問題であると認識している」などと自身の責任を否定した。
しかしながら、自治体監査の実務書には下記のように記載されている。
「自治体の中には、任意団体の事務局を担当部署が務め、庶務・経理を担当部署の職員が行うケースが多くがあるが、現金管理を担当者に任せ、所属長等もチェックを怠っていたため、公金横領という不祥事を招いてしまうケースが報道等をよく見受けられる。
いつでも現金を引き出せることができ、チェックする者も存在しない環境下であったことが主な要因であるが、1人の担当者だけでなく、担当者以外の複数の目で現金をチェックできる相互牽制の機能があれば防ぐことができた可能性がある。また、任意団体の事務局を自治体職員でなく、外部の者に任せるように働きかけていくことも監査等を通して指導していくことが大切である」(吉野貴雄著『実践!自治体監査の考え方と実務』学陽書房、190頁、強調は引用者)
これは久御山町で発生した元町職員によるスポーツ協会の金員私的流用事案にぴったりと当てはまる指摘である。
つまるところ、任意団体であるスポーツ協会の事務局を町職員が務め、当該職員がいつでも現金を引き出せる状況にあり、それをチェックする者が存在していなかったことが私的流用を看過した大きな原因となったのである。「担当者以外の複数の目で現金をチェックできる相互牽制の機能」(前掲書)がなかったのである。
そうすると、町監査委員としては、スポーツ協会の事務局を担っていた教育委員会に対して、現金・通帳の管理やチェック体制が適切であるかを点検し、1人の担当者に会計業務等を任せきりにすることなく、「担当者以外の複数の目で現金をチェックする相互牽制の機能」(前掲書)を構築するべきと指摘し、事務執行のあり方について是正勧告をするべきであったというべきである。
このことを本紙芦田が代表監査委員に問責したところ「(事務執行のあり方について)指摘はしていない。今後においては検討する」などと、まるで他人(ひと)事のような答弁であった。監査委員は、スポーツ協会の現預金が町職員によって私的流用されたことについて予見し、または予見することができた立場にあったにもかかわらず、自らの職務怠慢について反省の弁はなく、また自らの能力不足を棚に上げ、職務遂行を正当化したのである。
代表監査委員は、助役出身であり、弁護士や公認会計士といった専門知見を有する者ではない。監査委員として必要な中立性と専門性が担保されておらず、自らの職務怠慢を反省することができない無責任体質では、町に対してどのような指摘をしても説得力がないといえる。久御山町の住民のためにも即刻辞任するべきである。
2025年4月23日
久御山ジャーナル編集部