全世代・全員活躍まちづくりセンター(愛称:グランハット)の工期が令和8年12月28日まで延長することが10月29日に開催された町議会総務事業常任委員会の休会中の事務調査等によりわかった。
グランハットは、当初は令和7年度中に開館することを予定していた。ところが昨年10月に共同企業体の構成員「南山建設」の経営破綻が明らかなった。さらに今年2月に配筋検査が不合格となり、配筋是正に6か月を要することとなった。
このほか、町によると破綻した共同企業体構成員の存在を前提に、同時に請け負った大阪・関西万博関連の工事や他の大型工事に技術者等を配置していたため、グランハット工事に人員の配置転換や補充がおこなえなかったこと、専門的な技術を持つ人員の確保に困難をきたしたこと、働き方改革として週休2日制の導入により人員の確保に困難をきたしたことなどの要因により大幅に工期を延長することになったという。
町側は発注者(町)には何ら瑕疵や過失はないと主張している。また、共同企業体は9月30日付けで町長宛てに発出した文書において、全面的に自社の非を認め、契約書に基づき工期延長に伴う損害賠償金も負担するとしている。本紙が調査したところ、文書には謝罪の文言は見受けられなかったが、社長が来庁した上で謝罪があったという。
10月29日の総務事業常任委員会では、工事現場の現地視察を実施。地元紙の報道によると共同企業体が内部撮影の禁止を視察団に伝えたところ、樋口房次委員が「技術が流出する恐れがあるなどという明確な理由があれば分かるが、理由も示さず『あかん』とはどういうことか」と説明責任を果たさない隠ぺい体質に憤慨したという(令和7年10月30日付け『洛タイ新報』参照)。
【社説】常任委員会は調査権を行使せよ 100条委員会の設置も視野に入れるべき
総務事業常任委員会では樋口委員を急先鋒に厳しい意見、憤慨する意見が相次いだが、中途半端なところで「矛を収めた」が感が否めない。
樋口委員が言うように、理由も示さず工事現場内部の撮影禁止を通達する共同企業体の態度は工期延長をお願いする立場として正当なものといえない。
共同企業体がそうした不誠実な態度であるならば、共同企業体の役員や現場責任者などを参考人として招致して、共同企業体から議会に直接説明を求めるといった調査権を行使するべきである。
ところが常任委員会では、委員から共同企業体の役職員の参考人招致を求める動議の提出はなかった。町執行部に資料の提供と説明・答弁を求めるだけで調査を尽くしたつもりなっている議会側にも問題がある。
もっとも常任委員会の参考人招致には法的強制力はない。これに対して100条委員会の証人喚問には出頭する義務があり、正当な理由がない不出頭には罰則がある。本件は、住民の大きな関心事であり、議会として調査を尽くす責務を負っていることは明らかである。
常任委員会は、共同企業体の役職員の参考人招致を求め、それに応じないような場合であれば、100条委員会の設置も検討するべきはないだろうか。
久御山町全世代・全員活躍まちづくりセンター建築工事について(企画財政課常任委員会資料).pdf (0.5MB)
2025年11月8日配信
久御山ジャーナル編集部