久御山町は、町スポーツ協会の金員を私的流用した疑いがある元会計年度任用職員Kを近く京都府警に告発(刑事告発)する方針を固めた。業務上横領罪が成立すると見られるが、その他の罪との併合罪が成立する可能性もある。
町によるとKは、スポ協の会計を一人で担当しており、不正に金融機関から出金された総額は約400万円としており、現在の不足額は約310万円としている。
Kは全額弁済の意思を示しているというが、12月15日の議会答弁によると、現在のところ1円も弁済されておらず、教育委員会はKが弁済する資力がある否か、把握していないという。
◯検討委員会立ち上げへ
久御山町は、来年1月に「久御山町スポーツ協会の事務執行の在り方検討委員会」を立ち上げ、会計帳簿・計算書類その他の書類検査とスポ協役員・教委職員への事情聴取をおこない、課題の洗い出しと検証を行うことも発表した。
委員は、学識経験者・弁護士・公認会計士・行政職員によって構成するという。行政職員が入る必要性がよくわからないが、学識経験者については「町のことをよく知っている方」を委嘱したいとした。
学識経験者として適任なのは法学者・行政学者・会計学者・経営学者などが考えられるが、行政に協力的な「御用学者」では論の外である。委員構成によって久御山町の「本気度」が示されるといってよいだろう。
ちなみに近隣の宇治田原町で町職員が逮捕されたときに設置された「宇治田原町重大事件等調査委員会」の委員構成をみると、大学教授2名(行政法学者と都市社会工学者)、弁護士2名、公認会計士兼税理士1名の合計5名という錚々(そうそう)たるメンバーであり、久御山町でもこのレベルの委員構成が必要である。
2023年12月22日
久御山ジャーナル編集部
12月15日、本会議の議案質疑において松本議長が「質疑は自己の意見を述べる場ではない」と芦田の発言を制止する場があった。この点について解説が必要と感じたので、以下のとおり記載する。
質「疑」は、議題となった事件について疑義をただすものであり、自己の意見を自由に述べることができる質「問」とは区別される。
『議員必携』(全国町村議会議長会編、学陽書房)に質疑は「自己の意見を述べることができない」との記載があるが、「自己の見解を述べないと質疑の意味をなさないようなものについてまで禁止しているものではない」と続く。
『議員必携』以外にも次のような見解が存在する。
「ここでいう『自己の意見』とは、討論の段階で述べるような事件についての賛否の意見をいうもので、質疑をするに当たって、補足説明的に『私はこの点については、このように考えるが、提出者としてはどうか』というようなものは、質疑の体裁の上から必要ならば許されるべきものと考える」(地方議会運営研究会編著『地方議会運営辞典』ぎょうせい、305頁)
「条例案に対する質疑の場合に、個々の条文の意義や解釈について質疑するだけでなく、条例の目的に対する質疑等も対象になるはずです。例えば、条例が目指すものの実現のためには他の方途も考えられるが、なぜ、こういう方途・規定を採用するのか、といった疑義の解明も質疑として認められるべきだと思います。そうなると、その前提として、こういう方途もあるという発言は自己の意見を述べることになるわけですから、質疑に自己の意見を述べることも必要な場合もあります」(鵜沼信二著『ポイント別でわかりやすい!地方議会・議員の基礎知識』中央文化社、97頁)
畢竟すると、質「疑」においても自己の意見を述べることはできる。しかしながら、質「問」とは違い制約・限界があるということになるが、どこまで許されるかの判断は正直難しいと思われる。
これを本件についてみると芦田の「不祥事直後に3役の期末手当をアップするのは、いかがものか」という趣旨の発言は確かに「自己の意見」ではあるが、提出者の意図に対する質疑であり、「自己の見解を述べないと質疑の意味をなさないようなもの」に該当するところ、提出者に前述した見解を問う本件質疑は適切なものであったと解するべきではないだろうか。
よって芦田は「自己の意見を述べないと質疑の意味をなさないので許される」という見解であり、一方で議長は「質疑から逸脱して『自己の意見』を述べている」との見解を思われる。
これは見解の相違である。見る人によっては、「芦田は議員なのに議会のルールも知らないのか」という印象を与えるため、まさに「自己の意見」を述べさせていただいた。
2023年12月15日
久御山ジャーナル編集部
編集長 芦田祐介
「ふれあい交流館ゆうホール」や「総合体育館」の指定管理者である公益財団法人久御山町文化スポーツ事業団が公の施設である「ゆうホール」を主たる事務所として法人登記をおこなっていたことがわかった。
久御山ジャーナルが法務局から取得した事業団の履歴事項全部証明書には主たる事務所に「京都府久世郡久御山町佐古外屋敷235番地(久御山町ふれいあい交流館ゆうホール内)」との記載があった(下記PDF参照)。
『自治体法務の基礎と実践』(森幸二著、ぎょうせい)には「公の施設の一部を管理業務の必要性を超えて、指定管理者の団体事務所として使用することはできない」「NPOなどである指定管理者などが公の施設を本拠として法人登記を行っている例があるが直ちに訂正させなければならない」との記載がある。
ゆうホールは公の施設であり、久御山町から指定管理者として指定を受けた公益財団法人であったしても、あくまでも私法人である。指定管理者である私法人が公の施設を主たる事務所として登記することは、いわば「公私混同」であり、上述した専門家の意見のとおり、許されないと解される。
事業団は、ゆうホール以外に事務所機能を有する所在地がないのであれば、法人代表者の自宅等を主たる事務所として登記するべきである。
一方、久御山ジャーナル芦田の指摘に対して、内田教育長は12月13日の議会答弁において「公益財団法人を所管する京都府に確認したところ、違法・不当ではないとの回答を得た」と反論した。理由として「事業団は指定管理業務以外の事業をおこなっていないため」としている。
しかしながら、例えば税務官庁や(財団を所管する)京都府に提出する書類を作成することは、指定管理業務と直接の関係がない事務であり、これを「主たる事務所」として登記しているゆうホールで作成することは許されなのではないだろうか。また、住民感覚からも私法人の主たる事務所を公の施設の所在地に登記するというのは、大きな違和感がある。
久御山町文化スポーツ事業団の法人登記.pdf (0.23MB)
◯専門家の意見(参考)
「指定管理者が、管理する公の施設の一部を管理業務の必要性を超えて、事務所として使用することはできない。使用するためには、目的外使用許可が必要であるが、『事務所が管理する施設の内にあった方がよい』は、当該許可において考慮するべき事項ではない。単なるわがままに過ぎない。施設の設置当初から、あらかじめ指定管理者の主たる事務所のスペースが用意されている例などは、論の外である。活動の本拠であり、物理的な象徴でもある事務所を持たないような団体が、公の施設の管理者として相応しいだろうか。
また、観光協会、NPOなどの指定管理者が、公の施設を所在地として法人登記を行っている例もある。一種の『不法占拠』である。対外的な過解を招かないように、訂正させなければならない。」
引用文献:『指定管理者制度の実務』(森幸二著、ぎょうせい、115頁)
2023年12月14日
久御山ジャーナル編集部
久御山町内への核融合発電試験施設立地計画を発表している京都フュージョニアリング株式会社(以下「京都フュ」社)が立地にかかる補助金を京都府に申請していたことが久御山ジャーナルの情報公開請求によりわかった。
補助金の名称は「京都産業立地戦略21特別対策事業費補助金」。当該補助金の要綱を見ると「府又は市町村の誘致を受けて府内に立地する者」に交付するとしている。
申請書の中で京都フュ社は「久御山工場」では「核融合発電に向けた工学技術を統合実証し、実証された設備を世界のフュージョンエネルギー会社に販売していく」とした上で、「安全上の大きな懸念はありません」としている。
京都フュージョニアリング株式会社の京都府補助金申請書.pdf (0.92MB)
2023年12月8日
久御山ジャーナル編集部