スポーツ協会の運営資金を私的に流用していた元町職員(懲戒免職)を町教育委員会が刑事告発し、不起訴処分となった問題で、教育委員会が検察審査会への審査申立てを見送っていたことが昨年12月10日までに分かった。本紙芦田の一般質問に対し、教育次長が答弁した。
この問題は、スポーツ協会の事務局を担当していた町の会計年度任用職員が、同協会の運営資金を私的に流用していたことが発覚したもの。町教育委員会は宇治警察署に告発状を提出し、刑事責任の追及を求めていた。一方、被害者であるスポーツ協会は刑事告訴を行わず、当初から消極的な姿勢を示していた。
その後、元町職員はスポーツ協会に対し被害額を全額弁済したが、京都地検は同事件を不起訴処分とした。
不起訴理由は、本紙が予想していたとおり「起訴猶予」であった。起訴猶予とは、犯罪の事実や証拠があり起訴すること自体は可能であるものの、被害弁済の有無、示談の成立、犯人の反省状況、社会的制裁の程度、再犯の可能性などを総合的に考慮し、検察官の判断により刑事裁判にかけないとする処分である。
本件では、元町職員が懲戒免職となり社会的制裁を受けていること、被害額が全額弁済されていること、被害者であるスポーツ協会が告訴を行っていないことなどが考慮されたものとみられる。
不起訴処分に不服がある場合、告発人や犯罪被害者は検察審査会に審査を申し立てることができる。市民から無作為に選ばれた委員で構成される検察審査会が審査を行い、2回連続で「起訴相当」と議決された場合には、裁判所が指定した弁護士が検察官に代わって起訴する、いわゆる強制起訴の制度も設けられている。
本紙芦田は一般質問において、今回の不起訴処分について検察審査会に審査を申し立てるべきではないかと質(ただ)した。これに対し教育次長は「検察庁の判断を尊重する。審査申立てを行う予定はない」と答弁した。
また教育次長は、「スポーツ協会の会長にも確認したところ、検察審査会への申立てを行う意向はないと聞いている」と述べた。
これにより本件は、刑事手続きとしては事実上の幕引きとなる見通しである。
しかしながら町職員が、スポーツ協会の資金という準公的な資金を私的に流用した事件であり、その社会的影響は決して小さくない。全額弁済が行われたとはいえ、被害額は300万円超にのぼる。
被害団体であるスポーツ協会が刑事告訴を行わず、また検察審査会への審査申立ても行わない意向を示したことは、組織としての責任やガバナンスの観点から強い疑念がある。一般的に、団体の資金を横領された場合、組織として刑事告訴を行うことは再発防止や組織のガバナンスを示す意味でも重要とされる。告訴を見送ることは必ずしも違法ではないものの、団体の管理体制や監督責任の観点から疑問が生じるといえる。
検察の不起訴判断の妥当性について市民の目で審査する制度として検察審査会が設けられている以上、その活用を検討すべきではなかったのか。教育委員会およびスポーツ協会の対応が問われている。
2026年4月5日配信
久御山ジャーナル編集部