久御山町企画財政課は、南山建設が事実上経営破綻したことにより全世代・全員活躍まちづくりセンターの建築工事は公成建設の1社体制で施工していくこととなったことを総務事業常任委員会に報告した。
本紙11月6日付け既報のとおり、まちづくりセンターの建築工事を受注していた公成・南山建設工事共同企業体(代表者=公成建設、構成員=南山建設)の一員であった南山建設が事業を停止し、弁護士に事後処理を一任した。帝国データバンクなどによると同社は裁判所に自己破産の申し立てをする準備に入ったものであり、事実上の経営破綻とみられる。
町企画財政課によると、今回の経営破綻により公成建設と南山建設が締結した協定書に従い、まちづくりセンターの建築工事は公成建設に1社体制で工事施工がおこなわれることになるという。1社体制により人員が不足することが予想されるが、公成建設が人員を増員するなどして工期に影響が出ないようにするとしている。
町は工事前払金(工事代金の4割に該当する約10億円)を公成・南山建設工事共同企業体を支払っていたが、当該金員は代表者の公成建設が管理しており、現時点において町が損失を被ることはないという。
委員会では、島宏樹委員から「南山建設の経営が厳しいといった悪い噂は聞いていなかったのか」との質疑があったが、町は「把握していなかった」と答弁した。
久御山町全世代・全員活躍まちづくりセンター建築工事について.pdf (0.34MB)
2024年11月7日配信
久御山ジャーナル編集部
株式会社南山建設(本店=伏見区淀)が事業を停止し、事後処理を弁護士に一任した。負債総額は約13億円。同社は久御山町田井にも支店を設置しており、久御山町役場と密接な関係にある。
久御山町が発注者となっている全世代・全員活躍まちづくりセンター建築工事(契約金額約26億円)の受注者は公成・南山特定建設工事共同企業体となっており、当該企業体の構成は公成建設と南山建設の2社である。
当該工事に何らかの影響がある可能性が高いと考えられるが、本紙が企画財政課に問い合わせたところ11月7日開催の総務事業常任委員会で詳細を説明したいとのことであった。
信貴康孝町長は、公務として同社の安全大会や芋掘り・焼き肉大会に出席するなど密接な関係にあった。
久御山町HP「町長の動き」(令和5年10月)より
また、南山建設の本社社屋には先の総選挙で京都3区から自民党公認で立候補して落選した森干晟(もり・かんせい)氏のポスターが掲示されていた。
このほか同社は令和4年1月27日に自民党伏見区第二支部(支部長=繁隆夫・京都市議会議員)に12万円の政治献金をおこなっていることが確認できたため、自民党と密接な関係にあったといえる。
※京都市議会議員の繁隆夫氏は、昨年に自民党を離党・市議会自民党会派からも離脱している。
※政治資金規正法では、3事業年度以上にわたり継続して貸借対照表において欠損を生じている会社は、その欠損が埋められるまでの間、政党又は政治資金団体に対して寄附をすることはできないとあるが、献金当時の同社がこれに該当していたかどうはか不明。
○参考ページ
本社社屋に掲示された告示書
2024円11月6日配信
久御山ジャーナル編集部
本年6月28日付けをもって中井孝紀議員(当時)は議長に辞職願を提出し、本会議において賛成多数(1議員が反対)によって辞職が許可された。議会は議員から提出された辞職願を拒否することはできるのか、以下検証する。
地方自治法126条は「普通地方公共団体の議会の議員は、議会の許可を得て辞職することができる」とある。それでは、議会は自由な裁量により議員辞職を許可・不許可を決めることができるのか。
最高裁の判例(昭和24年8月9日)によると市議会は正当の理由なくして市議会議員の辞職願を拒否することはできないとしている。地方自治法126条の規定は、議員が自己の恣意に基づいてみだりに辞職することを抑止するためのものであり、議会もまた正当な理由なくしては辞職許可を拒否しえないものと解される。
当該判例は市長当選の告知を受けた日から5日以内にその兼職禁止の職(当該判例では市議会議員)を辞さないときは、市長当選の効力を失うものとされていた当時のものである。
※判例の事案では市長に公選され就任するために市議会議員を辞職しようとしたものであるが、現行法では市議会議員が市長選挙に立候補した場合は、議員職は自動失職となる。
これを本件についてみると、中井議員は、町長選挙に立候補するために議員辞職を願い出たものであり、辞職する権利を濫用したものと認めることはできない。
※現町長である信貴康孝氏も町長選挙に立候補する前に議員辞職している。
従って議会が辞職を不許可とする合理的な理由は見当たらず、仮に議会が辞職を不許可とした場合は、違法な議決となった可能性が高いと考えられる。
最高裁判所第三小法廷 昭和24年8月9日判決(裁判所ウェブサイト登載)
2024年11月5日配信
久御山ジャーナル編集部
久御山町は水道料金値上げの説明会を10月17日、同19日に開催したが参加者が低調であることがわかった。
上下水道課への取材によると説明会の参加者は合計13名。
内訳は17日は住民1名、職員4名、本紙芦田の計6名。19日は住民4名、視覚障害者の同行援護者1名、前町議1名、職員1名の計7名。
※視覚障害者の同行援護者は住民がどうか不明。
この他、町上下水道課は企業・団体から申し込みがあれば出前説明会も実施するとしているが、10月21日現在の申し込みは1団体(双栗自治会)にとどまっているという。
なお、説明会の参加に職員5名が含まれているが、町によると「動員」ではないとしている。
久御山町の水道事業は令和2年度に値上げをおこなったものの、厳しい経営環境が続いており、再び赤字に転落している。今回、上下水道事業経営審議会での審議を経て、平均16.9%の値上げをおこなうとしている。
2024年10月21日配信
久御山ジャーナル編集部
元町職員(懲戒免職)による運営資金の私的流用を看過していた町スポーツ協会は、捜査機関に告訴することを断念した。スポーツ協会に法的知識や調査する能力が欠如しているためだというが、犯罪者を野放しにすることになり、公益に反する。
本件事案は、町スポーツ協会の事務局を担当していた久御山町の元会計年度任用職員が児童買春・児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕・起訴されたのが端緒。その後、別の職員がスポーツ協会の事務を引き継いだところ、逮捕された元職員が同協会の金員を私的流用していたことが発覚していた。
町教育委員会は昨年12月に元職員を宇治警察署に刑事告発。告発状は長期間「預かり」状態となっていたが、本年9月になってようやく受理された。
告訴は犯罪被害者が捜査機関に対して犯罪事実と処罰の意思を申し出ることであり、本件で告訴権を有するのは町スポーツ協会である。一方の告発は、告訴権者以外が犯罪事実と処罰の意思を申し出ることである。刑事訴訟法によると、公務員は職務上犯罪を知ったときは捜査機関に告発する義務があるため、町教育委員会は本件義務を履行したものといえる。
告訴権を行使するかどうかの最終判断は町スポーツ協会がおこなうものであるが、町教育委員会としても告訴するように助言・勧告し、必要なサポートをするべきであるが、議会では「告訴するかどうかはスポーツ協会が判断すること」と他人事(ひとごと)のような答弁であった。
本件では私的流用された金員の全額が弁済されており、告訴権者から処罰感情が示されていないこともあり、最悪不起訴になる可能性は否定できない。
準公金の私的流用は絶対に許さないという強い意思を示すためにも、スポーツ協会は今からでも告訴するべきである。町からの補助金で運営している公益性が高い団体としては、告訴することは当然の責務であり、告訴を断念するような組織体質にも大きな問題があるといえる。
スポーツ協会の事務執行状況について(民生教育常任委員会資料).pdf (0.16MB)
2024年10月18日配信
久御山ジャーナル編集部